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マックな日々「黎明編」
ご存じかもしれないけど、PCという言葉は本来IBMの商品名であって、パソコン一般を差す言葉ではない。だから、僕のパソコンライフで重きを占めてきたMacintoshはあくまでもPersonal computerであって、PCとは呼ばない。 Macintoshというのは米国アップル社のブランドだ。アップルといえば、ビルゲイツなど足元にも及ばないカリスマ、スティーブ・ジョブスが興した会社で、彼は草創期にあまりにワンマンを通したものだから、赤字になった途端に株主から総スカンで会社から放り出されたりした。現在はCEOにカムバックして、iMacの大ヒットを飛ばしたことは、皆さんもよくご存じのはず。彼は超一流のコンセプトメーカーだ。素人にパソコンを身近にさせたマックのGUIとマウスは有名だが、そのほかにも、ソニーのフロッピーを世界で始めて採用したり、ハードディスクやCDROMをパソコンに初搭載、標準でSCCI&ネットワークを装備、お手軽USBの採用、その他数えれば切りなし…何でもかんでもやることが世界初でないと気に入らないらしい。 インターネットの標準言語HTMLも、元々はアップル社にいた技術者が開発したものだし、ジョブスが放り出された原因は、手の平コンピュータの開発でとてつもない損失を出したからだ。この遺産は現在、皆さんも知っているトップブランドパームトップなどに生かされている。当時はあまりにもハードの性能が低く、先進のコンセプトを実用化しきれなかったのだ。我々が普段恩恵を被っているパソコンの技術、あるいはコンセプトは、その90%がアップル社すなわち、スティーブ・ジョブスが実用化・普及化したと云ってもいいかもしれない。SONYのようにありたいというのが彼の口癖だという。確かにアップルはパソコン界のSONYだ。そうそう、Macintosh初期のノートブックパソコンPowerBookがソニーのOEMって知ってた?面白いね。 この人は、アップルから離れていた時代にNEXTという会社を起こすのだが、大体先見の明がありすぎてよくこける。斬新なOSを装備したUNIXベースのマシンを世に問うたのだけど、インターネット時代には早すぎた。いまなら売れるやろね。ご多分に漏れずNEXT社は経営困難に陥いるのだけど、なんと今度は映画プロデューサーにアニメ映画を作ろうともちかけ、資金を引き出すことに成功、まんまと自社で制作を請負い、起死回生大ヒットで大儲けするのよ。これが世界初の3Dアニメ「トイ・ストーリー」 一体、こういう天才の頭の中には、何が詰まっているのやろね。 そもそも、その卓越した性能でパソコン界のポルシェと呼ばれたMacintoshが、なぜ我が貧乏事務所に導入されたか?一言でいえば「ギザギザが出ない文字がプリントできる」という情報に飛びついたからだ。その昔パソコンの出力といえば、がちゃがちゃとタイプのようにインパクトするドットプリンターが当たり前で、ギザギザの出ない文字を出力すると云うことは夢のまた夢だったのである。しかしMacintoshなら滑らかな文字を印字することが可能であり、しかも米国では製版フィルムが出力でき、すでに新聞などは電子化に移行しているという。「おぉ〜!凄いやんか」 当時デザイン事務所で印刷物の原稿を作る時は、写植屋さんという所で印刷用の高解像度文字を写真に焼いてもらい、それを台紙に切り張りして原稿を作っていたのである。絵を描いたり線を引いたりするのも、全て手作業〜年期の必要な職人仕事だった。それをすべてMacintoshなら機械が肩代わりしてくれるという!僕の事務所は元々店舗デザイン系で、グラフィック屋ではなかったが、時節柄プレゼンテーションの仕事が多いので、半分グラフィック屋に近くなっていた。渡りに船だ。
一昔前のある年の春うらら日。貧乏事務所の一室で事情通のデザイナーと話をした。彼はすでに一財産Macintoshに投入している。
などという不毛な会話を繰り返しつつ、情報を収集すると、どうやら日本語バージョンのMacintoshが発売されたという。一番大事な書体も、モリサワ(写植メーカー大手)から発売されたところで、商業印刷に耐える実用品質だという。このフォントは専用プリンターに搭載されるらしい。日本人にもMacintoshのリッチな世界が手に入るのだ。
いくらぎざぎざが出ないとはいえ、モノクロで明朝とゴシックたったの2書体。色や書体を駆使するデザイン事務所では話にならない。おまけにA4!デザインでは少なくともA3が必要。一体何に使うのよ…
こいつ、わしをなめとるのとちゃうか〜シャブ売る暴力団でも、もうちょっと相手の財布の中身を考えよるわ!
善意の相談相手が、悪徳商社の営業マンの顔に見えてきた。
一部上場会社だけやで、こんなやくざな買い物できるんは・・・・・・。パソコン界のポルシェちゅうのは、値段のことやったんかいな(-_-;)
これで全部か、凄い買いもんやなぁ〜元はとれんな(-_-;)
百聞は一見に如かずと、ちゃりことマックを扱う代理店を覗いてみた。林檎のマークが誇らしげだ。ちゃりこが画面を覗いて黄色い声を上げた。 接客に出てきた営業マンの感じがよかったので、本格的な商談交渉に入ることにした。入社した仕立ての営業マンだが、客あしらいが上手い。やがて、すったもんだのあげく(=値切り倒し拝み倒し)憧れのMacintoshが、貧乏事務所にやってきたのは、それから1ヶ月ちょっと経った頃だった。しかし夢の機械は、すぐさま悪魔の機械に変身したのだ!Windows98のトラブルで泣いている初心者など、まだまだじゃ。真の悪夢というのは3日に2回徹夜する状況が、何ヶ月も続くことを云う…。
ということで、あっというまに次期FX機種選定に入らなければいけなくなった〜5年リースの五分の一も終わっていないのに…。こうなったらやけくそじゃ!このようなつまらぬ理由で、減価償却まだまだという入門マックは、メモリーフル装備のハイエンドマック2台とバトンタッチし、それに加え、重量300kg以上燦然と輝くポストスクリプト対応A3フルカラー出力機(価格は中型ベンツ)が新たに主役として、鎮座することになったのである。 そして、この日からダンディでマックな中年は、「元は絶対に取る!」と暗くも熱い想いを心に秘めた戦うマックユーザーに変身したのだ。もちろん戦う相手は世間の敵ではなく、云って聞かせても道理が通じないマックと、重さだけは業界ナンバーワンという弩級出力機である。いよいよ紙面も尽きたようなので、本日はこれにて〜次号へ続く。
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