棒ウキつくっちゃえ!
工作好きな釣り人なら、まず何から手作りに挑戦するのでしょうか。ウキ釣りの人ならまずウキでしょうね。ウキは釣り手の思想・こだわりを表現します。その人の使っているウキを一目見ただけでも、その人の釣りのレベル、釣り方、通う海までがわかるものです。お店には多種多様なウキがずらりと並んでいます。始めのうちは選ぶのに苦労するぐらいですが、いっぱしのマニアになってくると物足りなくなってきます。特に近年はウキフカセブームで円すいウキのアイテムが素晴らしく充実してきたことに反して、波止釣りファンが親しむ棒ウキのアイテムが随分減りました。特に高級なウキがほとんど店頭に並ばなくなっています。とても悲しいことですが、これも時代の流れでしょうか。
比較的流れがとろく水深があり、潮任せの釣りが多くなる波止では、やはり棒ウキが使いやすいものです。今回はこの棒ウキ作りにチャレンジしてみましょう。今回も前回と同じく、始めてウキ作りにチャレンジする人のための簡単入門講座です。竿作りよりも簡単にできますから、ぜひ挑戦してみて下さい。ウキのもつ役割というものが、ぐんと理解できるようになるはずです。同時に市販品のどこがいいのか、どこがもの足りないのかよく分かるはずです。自分の釣りのスタイルというものも再認識するでしょう。
遠投の効く高感度小型ウキに挑戦!
波止で皆さんの使っているウキを見ると、相対的に大きいウキ、大きい余浮力のウキが多いようです。それはそれで悪くありませんが、厳寒期のメバルやハネを狙うためには、できるだけ感度の高いウキが有利になります。しかし高感度のウキほど、軽量で波風に弱く使い勝手が悪いのです。磯で使うアタリウキは単体で使えませんし、感度抜群のヘラウキも波気のある海では使いにくいですね。ということで、単体で使え感度抜群、しかもそこそこの飛距離も出る、風に強くアタリも見やすいという欲の深いウキを作ってみましょう。もちろん簡単チャレンジシリーズですから、専用工具を使うことなく、初心者でもすぐ作れる設計にします。
スペック
全長はブランコを除いて280mm、直径12mm、予想重量10g程度、足元から竿3本先までを狙える万能ウキです。ウキの命は素材とフォルムです。ウキに使う素材には桐、カヤ、孔雀の羽根、発泡など軽くて強い材料が使われますが、初心者では加工が難しい所もあります。今回はどこでも入手できるバルサを使うことにしました。皆さんもご存じのようにバルサは、模型飛行機などの工作に用いられる非常に軽い材料です。軽い材料はそれだけ浮力が強く、オモリをたくさん仕込めます。ですから少ない体積(スリム)で高感度なウキをつくることも、逆に重くして遠投性を高めることもできるというとても都合のよい材料なのです。
問題は材質がとても柔らかいことです。初心者でも加工がしやすいという反面、傷つきやすいということです。バルサはとても柔らかいので、紙ヤスリで簡単に形が整えられますが、反面きゅっと爪で押すと簡単に凹みます。ですから、しっかりした塗装が重要になります。
対象魚
ずばり寒の時期のメバル、ハネ、チヌです。ごく小さい前当りを取れる感度と、風に負けずポイントを狙える飛距離、潮受け性を狙います。
余浮力
B〜0.5号程度まで、好みに応じて調整することにします。ウキづくりはどんぴしゃの浮力を出すのが難しいので、ちょっと簡単に調整できるような工夫もしてみました。
固定式or遊動式
これも好みに応じて選択できる形態とします。
夜釣り対応
オプションで簡単に追加できます。
簡単につくるための工夫
手間を省くために、トップは美しいヘラ用の既製ウキトップを流用します。
後々ノウハウを生かせるように…
色々なバリエーションが作られるよう応用の効く設計にしています。
★原寸サイズ/断面図を見る★
パーツ |
| バルサ材 |
バルサ材:断面24×12mm以上、長さ450mm程度×1本 |
| 芯材 |
ステンレス鋼丸棒:φ1.5mm×長さ500mm程度×1本 |
| ウキトップ |
ヘラ用ウキトップ:φ1.4mm中細ソリッド×長さ120mm×1本 |
| ブランコ |
固定式(環付でも可)×1ヶ ※釣研製もしくはヘラ用 |
| 浮力調整オモリ |
ヘラ用ラセンオモリ ※もしくはナツメオモリ(適当な号数) |
| 釣り用補修糸 |
極細(黒) ※ミシン糸でも代用可 |
| ※ケミトップ |
必要ならば×1ヶ ※釣研もしくは日本化学発光製 |
塗料など |
| サフェッサー |
木工用下塗塗料 ※TOHO製NT下塗用でも可(釣り用) |
| ラッカー |
好みの色、2色(1色でも可)いずれも小瓶 ※スプレーでも可 |
| ラッカー薄め液 |
中瓶 |
| 透明ウレタン |
小瓶 |
| 刷毛 |
小筆1本/小刷毛1本 |
| インレタ |
転写文字シール ※文房具用品です |
| 工具 |
電動ドリル(速度調整式)、カッターナイフ、ペーパー180番・300番・600番、水ヤスリ800番、瞬間接着剤(木工用)、2液性ボンド(10分硬化型)、メジャー、マスキングテープ、万力、豆鉋、ノギスなど |
購入について
ほとんど、釣具屋さんとホームセンター、ハンズなどでまかなえるはずです。通販を利用するならば、以下のサイトの通信販売コーナーを参考にして下さい。
まるかつ釣り具
http://www3.inforyoma.or.jp/marukatu/
釣り具の大和屋
http://www.yamatoya-net.co.jp/
バルサ材について
< できるだけ密な木目を選んで下さい。材がそれだけしっかりしています。
ウキトップについて
ヘラ用のできあいのウキトップを転用すると、とても美しいウキが作れます。大きい釣具屋さんなら、たいていヘラコーナーに置いてあり意外に安価です。細いものは海では見にくいので、ある程度の太さを選んで下さい。トップにはソリッドと呼ばれる無垢のものと、中空のセル製のものがあります。ソリッドの方が感度に優れます。おいおい工作に馴れてきたら自作してみて下さい。※右上写真参照
さぁ作ろう
ボディから作ります
サイズを頭によく入れてから、バルサを鋸で切り、かまぼこ板状の同サイズの板を、2枚木取りします。これがウキのボディになります。
- 定規で正確に中心に線を描きます(矩尺やケビキを使うと楽)。次に線に沿って、芯材を入れるための細いV字型の溝を、カッターで掘ります。バルサは材が柔らかいので、少し小さめに溝を切っておくと、心材との馴染みがよくなります。定規に沿わせてカッターを寝かせて使うと、綺麗に加工できます。2枚同じ作業を繰り返します。
- 溝ができたら、ウキトップとステンレス棒をはめ込み、位置を合わせます(1:2)。トップおよびステン棒が真っ直ぐ板から出ているか、注意して下さい。後からは直せません。
- 位置が決まったら2液性硬化ボンドを溝に流し込み、心材を嵌めます。次に板の内面に木工用瞬間接着剤(どろ〜としています)を薄く塗り(2枚とも)、板同志をしっかり張り合わせて下さい。はみ出た接着剤は手際よく拭き取ります。
- 充分重しになるもの(重いほどよい)を上に載せ、乾燥を待ちます。15分も待てば次の作業ができるはずです。※硬化時間をよく確かめて下さい。
ボディを粗加工します
まずウキトップの汚れ、破損を防ぐために、マスキングテープでしっかり養生します。
- 板状になっているウキのボディを、カッターで断面が正方形になるよう、加工します。目的のサイズより一回り大きくしておきます。
- 次に順々に角を切り落とし、円柱状に加工していきます。豆鉋を使うと簡単きれいにできます。
- 上下のテーパー部分を、鉛筆を削るように少しずつ形を整えます。
- 大体の形が整ったらドリルを万力にセットし、ウキのステン棒をチャックで固定します。
ボディの仕上げ加工をします
ドリルを回し、回転数を調整します。ウキがぶれないよう左手でかるくウキを掴んでおきながら、段差のあるボディ表面を#180番の紙ヤスリでならしていきます。ぐっとウキらしくなってくるはずです。
- 綺麗にウキの形が完成したら、#300番の紙ヤスリでさらに表面を仕上げます。
- 最後に#600番の紙ヤスリでツルツルに仕上げます。
- 一度ここで浮力の確認をします。バケツに水を張り、ウキが適度に浮かぶかどうかチェックしてみて下さい。横倒れになるくらいならボディをもっと削り込む必要がありますし、水没するようなら、ボディを削りすぎたということになります。適度に浮かんでいるようなら次の作業に進みましょう。※水に浸けすぎてはいけません。乾燥に手間取り、手待ちになります。さっとやるのがコツです。
- 芯がちゃんと出て直立して浮くかもチェックして下さい。いまなら修正できます。
- ドライヤーで乾かすと、次の作業へ進むことができます。
ボディの下地塗りをします
見た目にはツルツルのようでも、実はケバが寝ているだけで、このままでは仕上げ塗りはまだできません。目止め(下地調整)をします。
- サフェッサーを塗ります。カエシ刷毛(往復に塗ること)はいけません。1方向に沿って手際よく塗るのがコツです。均一に塗れればいいので、美観にこだわらないように。
- 乾かすときは、発泡スチロールに脚を差し込み、直立させます。このようにしておくと、液がダレてもあまり気になりません。半日おけば充分乾燥しますが、気の短い人ならドライヤーで乾かして下さい(笑)
- #800番の水ペーパーを掛けます。ドリルで低速回転させながら仕上げると、綺麗にできます。すこしずつ濡らして丁寧に作業して下さい。
- 再びサフェッサーを塗り、同じ作業を繰り返します。
- #800番の水ペーパーを再度掛けます。ツルツルになっているはずです。これで最終仕上げの準備ができました。
塗装をします
喫水部分とステンレス棒部分をマスキングテープで養生します。
- 本体をラッカーで塗ります。自信がなければスプレーがいいでしょう。
- ラッカーが完全に乾いたら、マスキングを逆にし、今度は喫水部分に明るくよく目立つ色を塗ります。ラッカーでなく蛍光色でもかまいません。※棒ウキの場合、喫水部分の塗り分けは、特に必要ありません。面倒ならば省略して下さい(笑)
- 完全乾燥するまで待ちます。気の短い人はドライヤーをお使い下さい(笑)
- 最終塗装です。透明ウレタンを上塗りします。さっと手際よく塗るのがこつです。もたもたするほど、美しく塗れません。
- ウレタンは硬化するのに時間が掛かります。気長に待ちましょう。乾いたら#800番の水ペーパーで丁寧に磨きます。
- 下地ができたら、適当な所にインレタで浮力表示、ネームなどを転写して下さい。柔らかい赤鉛筆のようなものでこすると転写できます、固い棒は厳禁!
- 再度ウレタンを塗ります。最終ですから慎重に。塗れたら発泡スチロールに刺し直立させます。液が垂れるのは気にしないように〜ステンレスの棒ですから、垂れた分は拭き取ればよいのです。さぁピカピカのウキができているはずです。
ブランコを取り付けます
完成品のブランコですから、ステンレスの棒に取り付けるだけです。
- ブランコをステンレス棒に8mm程度差し込みます。
- 棒の端から2,3mm空けてから、極細の補修糸でしっかり下から上へ巻き付けていきます。糸の巻き方はここを参考に!
- 最後の結び目に木材用瞬間接着剤を少し垂らして、固定させます。くれぐれも水状の瞬間接着剤を使用しないこと。リリアンは紐なので接着剤が染み込み、ごわごわになってブランコの役を果たさなくなります。折れることもあります、注意!
- 余り糸を綺麗に切ります。糸巻き部分の保護のために軽くウレタンを塗ります。これも上記と同じ理由で、塗りすぎに注意して下さい。
- 必要のないマスキングを取り外します。もし境目に汚れなどがあれば、適当に補修塗装を施してして下さい。
- スプリング式になった環も売られています。遊動式にするならこの方がいいでしょう。サイズの合うものを差し込んで接着するだけです。
- 夜釣りをする人は、トップにケミトップを差し込み接着して下さい。
浮力調整をして完了
浮力調整をするため、大きめのバケツに水を張り、ウキを浮かべます。
- ブランコにウキゴムとハリスを刺し、常用したいオモリをぶら下げます。
- ボディ上部がやや水面から出る位になるように、ステンレス棒にラセンオモリを巻き付けます。沈むほど巻き付けてから、少しずつ切って調整すると簡単です。
- 比重の関係で真水の方が海水より沈み気味になりますが、実際に使用する時には、ウキにサルカンや鈎の重みが余分に掛かるので、ほぼイコールと考えて下さい。
- ボディ上部の出し加減が分からないときは、使いたいオモリにガン玉Bを余分に打ちます。Bくらい残しておくと、うねりにも水没しませんし、ハリスにガン玉を打ち足したりする現場では使いやすいものです。
- オモリが決まったら、作業は終了です。ラセンオモリは切ったり継いだりできますので、現場で色々調整してみてもよいでしょう。
大体つかめましたか
今回の作り方は、とても簡単な作り方ですが、性能は市販品に引けをとらないはずです。まずは1本作ってみて下さい。より高度な作り方としては…
塗装を強化する
今回はウレタンを使っていますが、2液性のエポキシ樹脂塗料を使うと、市販のウキより強固な塗装が可能となります。塗装方法は基本的にウレタンと同じですが、取り扱いに注意が必要です。説明書をよく読んで下さい。
ウキ用の小瓶入りが売られています。
オモリを固定化する
ラセンオモリは現場での浮力調整が簡単なのですが、ナツメオモリを使うともっと恰好のよいものができます。オモリの穴をドリルで拡げ差し込み、ヤスリでオモリを削って浮力を調整するようにすればいいでしょう。塗装も可能です。図はスプリング環とナツメオモリを組み合わせた例。ナツメオモリを使う場合は、先にオモリを接合した後にブランコ、環などを取り付けること。調整はしづらいが見た目はすっきり。微調整はオモリ自身に紙ヤスリなどをかけて、ウエートを加減します。
ちょっと小技
ラセンオモリが現場で使ううちにずれる可能性があります。ズレ止めになるような小さなスリーブをブランコの上に接着剤で取り付けておくと、ばっちりです。スリーブの内径はステン棒の外形に合わせます。接合面積の少ない金属同志は接着しにくいので、シンナーで接合面の油脂を取るなど気を使って下さい。面倒ならばウキゴムを差し込んでおくだけでも、とりあえず用は足ります。
あとは応用…
浮力を左右するボディとオモリの相対関係が、初めのうちは分からないと思います、そのため今回はオモリを外装式にしています。馴れればボディに仕込んでも、大体の浮力が一発で出せるようになってくるはずです。工作レベルが上がれば、遠投用のウキや、カヤを使った自立ウキなど、いくらでもチャレンジできます。また一度作ると、ウキというものがよく分かるようになりますので、市販品を自分の釣りに合わせて使いやすくチューンナップするなど、楽しみも拡がります。ぜひホビーな釣りタイムを、家でも楽しんで下さい。
写真は千葉にお住まいの遠藤さんが自作されたヘラウキセットです。遠藤さん達へら師は玉の柄や竿かけ、ウキづくりなど、みなさん手作りするそうです。写真で見てもわかるように、とても綺麗な研ぎ出しで、プロの仕上がりです。

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